ヴェネツィアの街を歩いていると、路地の角や運河沿いにひっそりと佇む「バーカロ(Bàcaro)」に出会います。バーカロとは、ヴェネツィア独特の気軽な立ち飲み酒場のことで、地元の人々にとっては日常の延長であり、旅人にとっては味わい深い文化体験の場でもあります。
その起源は中世にまでさかのぼると言われ、元々は労働者たちが一日の仕事の後に軽く一杯飲むための場として親しまれてきました。名前の語源は諸説ありますが、一説には「神バッカス(Bacchus)」に由来するとも言われており、ワインと陽気さが結びついた場所であることを物語っています。
バーカロの特徴は、小さなグラスワイン(ombraと呼ばれる)とともに提供される「チケッティ(cicchetti)」と呼ばれる小皿料理。イワシのマリネやポレンタ、バカラ・マンテカート(干しダラのムース)、野菜のグリルなど、地元の旬を生かした素朴で滋味深い料理が並びます。
また、バーカロは決して気取った場所ではなく、立ち飲みが基本。通勤途中の一杯や、友人との語らい、あるいはひとり静かにグラスを傾ける姿など、さまざまな人々が肩肘張らずに楽しんでいる風景も、ヴェネツィアらしい魅力のひとつです。
今では観光客にも広く知られるようになったバーカロですが、現地の人々にとっては今も昔も「ちょっと寄って、軽くつまんで、すぐに去る」気楽な社交の場。レストランとは違った温もりがあり、旅の中で一歩ヴェネツィアの暮らしに踏み込める場所です。
ベネチアのバーカロ文化を体感:Osteria Ai Pugni
【店舗情報】
住所:Fondamenta Gherardini 2836, 30125 Venezia, Italy
MAP: https://maps.app.goo.gl/JapqSE8xZoD4CN5QA
ヴェネツィアのドーソドゥーロ地区に佇む「Osteria Ai Pugni」は、地元の人々と観光客が交わる温かな雰囲気のバーカロ(立ち飲み酒場)です。店名の「Pugni(拳)」は、近くにある「Ponte dei Pugni(拳の橋)」に由来し、かつてこの橋では対立するグループが拳で争った歴史があります。
このオステリアでは、ヴェネツィア名物の「チケッティ(cicchetti)」と呼ばれる小皿料理が楽しめます。イワシのマリネやバカラ・マンテカート(干しダラのムース)、ポレンタ、ミートボールなど、地元の食材を活かした素朴で滋味深い料理が並びます。これらの料理は、地元産のワインやスプリッツとともに提供され、ヴェネツィアの食文化を存分に味わえます。
店内は木の梁が特徴的な素朴な内装で、カウンターやテーブル席があり、立ち飲みだけでなく、ゆったりと食事を楽しむこともできます。外には運河沿いのテラス席もあり、ヴェネツィアの風景を眺めながらの食事は格別です。
ブラーノ島の隠れ家カフェ:Tipico J03
住所:Via Giudecca, 103, 30142 Venezia VE, Italy
MAP:https://maps.app.goo.gl/UBtAf8HdShkvg1NP6
カラフルな家々が立ち並ぶブラーノ島の一角に佇む「Tipico J03」は、地元の食材を活かした料理と温かみのある雰囲気が魅力のカフェです。観光客で賑わうメインストリートから少し離れた場所に位置しており、落ち着いた時間を過ごすことができます。ブラーノ島の街並みに調和したカラフルで温かみのあるインテリアが特徴的!
特におすすめは、地元産のワインと共に楽しむシーフードのバーカロ!他にもサンドイッチやスイーツなどの軽食も楽しめます。お店は小さいので、空いているタイミングに行くと良いと思います。