ブルックリンの Prospect Heights にある Underhill Cafe は、ギリシャ料理と地中海料理を中心にしたカフェレストランである。場所は Dean Street。近くには Brooklyn Museum や Prospect Park もあり、わざわざ夜の食事として構えるというより、昼下がりに少し歩いて入りたくなるような、近所の店の雰囲気がある。
ニューヨークでギリシャ料理というと、やはりアストリアの印象が強い。けれど、ブルックリンにもこうした店があり、ギリシャ料理が日常のカフェ飯として置かれている感じが少し面白い。Underhill Cafe は、大きなギリシャ料理店というより、近所の人がふらっと来て、コーヒーや軽い飲み物と一緒に前菜や温かい料理を食べるような店に見える。
Underhill Cafe Brooklyn
760 Dean St, Brooklyn, NY 11238
https://underhillbrooklyn.com/
https://maps.app.goo.gl/kEHvfGvrBFLszzsH9

店内は木の天井と家具が印象的で、バーのある落ち着いた空間になっている。白と青の観光的な「ギリシャらしさ」を強く押し出した店ではなく、どちらかといえばブルックリンのカフェやビストロに近い。そこにギリシャ料理や地中海料理のメニューが並んでいる。


この日印象に残ったのは、赤いソースの中に入ったミートボールのような料理 Lamb Keftedes 。Keftedes はギリシャのミートボールで、ラム肉を使い、トマトソースやチーズ、ピタなどと合わせる料理である。ラムのミートボールというと少し重そうだが、トマトソースがあることで味の方向がわかりやすくなる。肉の旨味があり、そこに酸味のあるソースとチーズの塩気が乗る。昼に食べるには少ししっかりしているが、重すぎるほどではない。前菜とメインの間くらいの満足感があった。
もう一皿は、焼いたチーズのような料理である。オーブン皿の中に白いチーズが溶け、表面に焼き目がついており、横には薄く焼いたピタのようなパンが添えられている。メニューにある Feta Fotia、つまり焼いたフェタにオリーブオイル、トマト、ペッパーなどを合わせる料理、あるいはそれに近い焼きフェタ系の一皿だと思われる。焼いたチーズというものは、かなり単純なのに強い。冷たいチーズには冷たいチーズの良さがあるが、焼かれると急に料理としての圧が出る。ピタを使ってすくうと、昼下がりの軽い食事としては十分に楽しい。ギリシャ料理や地中海料理は、こういう「パンで何かをすくう」瞬間がいいのだ。フォークとナイフで整然と食べるより、皿の上のものをパンで受け取る方が、料理との距離が近くなる。

この日はお酒ではなく Freddo Espresso を食後に頼んだ。Freddo Espresso は、ギリシャでよく飲まれる冷たいエスプレッソで、氷で冷やしたエスプレッソを泡立てて出す。ニューヨークのカフェでアイスコーヒーやコールドブリューを見かけることは多いが、Freddo Espresso がメニューにある店はそこまで多くない。だから、この一杯があるだけで、Underhill Cafe はただのギリシャ料理店というより、少しカフェらしく見える。昼に入って、コーヒーを飲みながら、ピタと焼きチーズとトマトソースの料理を食べる。夜の酒場ではなく、昼の地中海カフェ飯として成立している感じがあった。
Underhill Cafe は、遠くからわざわざ大事件のように訪れる店というより、近くにあったらうれしい店だと思う。店内は温かく、料理はわかりやすく、昼下がりに入っても重すぎない。ブルックリンの街中に、ギリシャ料理が少し日常として置かれている感じが良かった。