フラッシングには、マンハッタンのレストランとは少し違う種類の強さがある。きれいに整えられた「海外向けの韓国料理」ではなく、そこに住む人たちの生活や食欲に根ざした店が、通りの中に普通に並んでいる。
Jang Dok Dae(장독대)は、そういうフラッシングらしさの中にある韓国料理店だった。家族経営の温かさがありつつ、料理はかなり本格的。鍋物、焼き魚、チヂミ、肉料理、そして発酵や漬け込みの味がしっかり出た韓国料理が楽しめる。
Jang Dok Dae Corp
172-14 46th Ave, Flushing, NY 11358
https://maps.app.goo.gl/gRwnTF3rdWjRx3oo8

この店で特に気になるのは、カンジャンケジャン。渡り蟹を醤油ダレに漬け込んだ韓国料理で、いわゆる「醤油漬けの生蟹」。ニューヨークで気軽に食べられる料理ではないので、これを目当てに行く場合は、事前に在庫があるか確認しておくのがおすすめ。
実際に出てくると、かなり存在感がある。手袋を使って蟹の殻を割り、身をほぐしながら食べる。蟹の身はしっとりしていて、醤油ダレの旨味が強い。特に蟹味噌の部分は、ご飯と合わせるとかなり濃厚で、ただの「珍しい料理」ではなく、きちんと食卓の中心になる力がある。上品に少しずつ食べるというより、手を使いながら、少し黙って向き合う料理だと思う。蟹をほぐす時間、殻の中の身を探す時間、ご飯にのせる時間。その少し手間のかかる感じも含めて、食べた記憶に残る。

もう一つ印象に残るのが、熟成豚肉のグリル。
豚バラ肉を鉄板で焼く料理で、外側は香ばしく、中はしっかりジューシー。カンジャンケジャンの濃い旨味とはまた違って、こちらは焼いた脂の香ばしさが強い。肉料理としてかなり満足感があり、数人で行くならぜひ頼みたい一品。


そのほか、純豆腐などの鍋物、サバ、チヂミ、鉄板焼きなどもあり、メニュー全体としてはかなり幅広い。
韓国料理の「辛い」「焼く」「煮る」だけでなく、漬ける、発酵させる、熟成させる、手でほぐして食べる、という奥行きがある店だと思う。店内はアットホームで、過剰に飾られた感じはない。スタッフは韓国系の方が中心だが、店内にはいろいろな国の人が訪れていて、フラッシングらしい多国籍な空気もある。料理についても親切に説明してくれるので、カンジャンケジャンのような少し慣れない料理でも、思ったより入りやすい。
Jang Dok Daeは、軽く韓国料理を食べに行く店というより、少し目的を持って行きたい店だと思う。
特にカンジャンケジャンを食べるなら、ただの外食ではなく、韓国の食文化のかなり濃い部分に触れる時間になる。フラッシングまで行く意味がある一軒。