エルムハーストのBroadway沿いを歩いていると、赤い看板の中華料理店がいくつも目に入る。
その中でも Sweet Yummy House(三好川菜馆)は、かなり分かりやすい店構えをしていた。大きな赤い看板に中国語、窓には料理写真がずらりと貼られていて、外から見ただけで「ああ、ここはちゃんと中華料理店だ」と分かる。マンハッタンの整ったレストランとは違って、ここにはエルムハーストの生活圏の中華料理店らしい空気がある。
観光地として演出されたチャイナタウンではなく、地元の人たちが普段の食事として入っていくような店。少し雑多で、明るくて、メニューの数が多くて、テーブルの上もどこか実用的だった。

 
 
 
Sweet Yummy House
83-13 Broadway, Elmhurst, NY 11373
https://maps.app.goo.gl/H5GRSDtzyDAfVb7g7

 
 
 

この日頼んだのは、麻婆豆腐と炒飯。四川料理の店に来たら、まずは辛い料理をひとつ頼みたい。赤い油の浮いた麻婆豆腐は、見た目からしてしっかり辛そうだった。
麻婆豆腐は、豆腐が大きめに切られていて、赤いソースの中にごろごろと入っている。唐辛子の辛さと、花椒の香りがあり、いかにも四川料理らしい一皿。日本の麻婆豆腐のように甘辛くまとまっているというより、もっと直線的に辛く、油とスパイスの香りが前に出てくる。ただ、辛いだけではなく、豆腐のやわらかさがあるので、食べ進めると意外と箸が止まらない。白いご飯が欲しくなる味だけれど、この日は炒飯と一緒に食べた。

炒飯はかなりシンプルだった。卵、ネギ、チャーシュー、野菜が入った、いわゆる中華料理店の炒飯。特別に派手な料理ではないけれど、麻婆豆腐の赤い辛さの横に置くと、これくらい普通の炒飯がちょうどいい。辛さを受け止めるための白い場所のような役割をしていた。

青島ビールも一緒に飲むと、かなり気楽な食事になる。赤い麻婆豆腐、白い炒飯、緑の瓶のビール。テーブルの上の色がそのまま店の空気になっているようだった。

店内は良くも悪くもカジュアルで、サービスも必要最低限。けれど、それが冷たいというより、地元の人たちが普段使いしている店に、こちらが少し混ぜてもらっているような感じに近い。英語で丁寧に料理の説明を受けるような店ではないけれど、注文に困るほどではなく、不快な感じもなかった。
この店の良さは、料理そのものだけでなく、エルムハーストの街の中で食べることにある気がする。地下鉄を降りて、Broadway沿いの雑多な通りを歩き、赤い看板の中華料理店に入って、麻婆豆腐と炒飯を頼む。ニューヨークで中華を食べる面白さは、こういう場所にかなり詰まっている。きれいに整ったレストラン体験を求める店ではない。けれど、クイーンズのチャイナタウンらしい空気の中で、赤くて辛い麻婆豆腐と、シンプルな炒飯を食べたい時には、とても良い選択肢だと思う。

※来訪は2023年頃のため雰囲気や経営が変わっている可能性もあります。